紙一重

今日で銭ゲバ最終回でしたね。
まだ観ていない人もいるかと思うので内容については割愛しますが、
やっぱり貧困と犯罪とは密接な関係があるという見方でいいんだなぁと思いました。

風太郎の家族がもしもあれほど貧乏でなければ。

風太郎のお母さんが病気でなければ。

風太郎のお父さんがもっとまっとうに働いていれば。

いくつもたらればの積み重ねで犯罪は起きてしまうんですね。

はじめから、絶対に犯罪者になるって決まった人生なんてありえないと思うんです。

何か１つの要素がなかったなら・・・

そう考えると事故と一緒ですよね。
事故も程度の差こそあれ、いくつもの偶然が積み重なって起きてしまうもの。

風太郎を見ていると、菊池の起こした強姦強盗殺人事件を思い出します。
古い事件で記憶に残っている方が少ないと思うので概要を説明すると、病気の母を持つ青年が、治療費欲しさに強盗殺人を犯してしまうんです。強姦はついでに、ってカンジですね。

村で小金を貯めているという噂のあった雑貨商の家に押し入り、家族と使用人の４人を殺害。しかしあった金はたったの￥２０００。で、腹いせに女主人とお手伝いの２人を強姦したっていう事件です。

病気の母（患っていたのはソコヒ。現在で言う白内障ですね。）は若い頃結婚した男がとんでもない酒飲みで、苦労しながら菊池を育てたそうです。そんな母を見て、菊池は母思いの青年に育ったんだろうと思います。

その後その男とは離婚し、再婚するんですがこの結婚も失敗。再婚相手は病気の母を思いやることなく、白内障の治療を受けさせなかった。（貧乏でそんなお金がなかったというのもありますが）

それで菊池は一念発起して母に治療を受けさせるために強盗をはたらいたのです。

おいおい、それで自分が働いたお金で治療を受けさせるっていうのがまとも（＝というか普通そうですよね）なんですが、あえて殺人に手を染めてしまいます。

それだけ慌てていたってことなのかなぁ。

近所でも評判の孝行息子だったらしいですよ。
働き者で、家族思いで（母を自転車の後ろに乗せて往復で何時間もかかる町の医者の診断を受けていたというのと、父親違いの妹達の学費を稼いだの２点が参考資料では挙げられています）。
それだけ見たらたいそうな息子を育てたんだなってことになりますが、
冒頭でお話したとおり、この青年が強盗強姦殺人を犯してしまうのです。

母を大事に思う気持ちがあるってことは、自分以外の他者を大事に出来るってことじゃないですか。
どうしてそんな人が他所の家だからといって強盗なんて・・・と私は思います。

結局、というか当然死刑判決でもう執行済みです。

この人、脱獄もしてるんですよ。
母親が村八分にされてることを知り、それを村人にやめさせるためです。
どこまでも母思いなんですよ～

刑事の温情で母親に会えたんですが、わずかな時間だけ。←当然ですが



教育、一歩間違うととんでもないことになってしまいますね。

思いやりがあっても、方向性を間違うと大惨事です。

この事件は読み返す度に死刑にならない方法はなかったのだろうか、と思ってしまいます。

いや、死刑反対ではないんですが（というかむしろ推進派）
同情の余地があると、つい・・・

大抵の死刑囚には同情の余地がないんですが、菊池と朝倉（練馬一家皆殺し）だけは助からなかったのかと考えてしまいます。

どっちも４人、５人も殺しているので、無期になるかならないかの微妙なラインって訳ではないんですが。

何が言いたいのかというと、
どんな大惨事を起こしても、根っからの悪い人間でもうどうしようもないなんてケースはほんの一握りじゃないだろうかと思うのです。

なかには犯罪性が強固な場合もありますが（最近の事件で言うなら勝田清隆、山地悠紀夫など）不幸な生い立ちは犯罪の引き金になるってことです。

前は与えられた環境も自分で変えられるのが人間じゃないかと思っていましたが、もし教育が十分でなくて、そう考えるだけの知恵もなかったら？
と思うようになりました。

与えられた環境を自分で変えるって、結構頭脳労働な部分多いじゃないですか。
それを十分に精神的にも成長していない人間がするのは難しいでしょ？

愛情不足な環境で育った人も少なくないけれど、それと同等に問題なのが十分な教育を受けたとは言い難い点。

風太郎の場合、あえて自分で最悪な展開を招いたとも言えなくもありませんが、最高の選択でなくても最悪な展開を避けることは出来ました。

それだけの知恵があったら、全然不幸な人生ではなかったと思います。

あぁ、なんか今日は長いですね。
他にも思ったことはありますが、ＤＶＤで見返そうと思います。
久し振りに深く掘り下げられるテーマの作品だったなぁ。

今日は猫ネタでないのでソマリのリンクバナーはぺったんしません。