前回の続き。今日のお題は躾についてです。
一度、「ちょっとくらい叩いたっていい」という育児書を読んで真に受けて叩いてしまったことがあるんですが、その時のイリヤの「怖い!!」という怯えきった表情を見たら、とっても続けられなかった。
昔、叩かれて育った子は人の手を怖がるようになるんだと聞いたことがあります。イリヤの場合、よっぽど怖かったんでしょうね。
私を見ると、ベッド下に駆け込んでいきました。
そんなに怖い思いさせちゃったんだ・・・
私は軽くペンとぶっただけだと思っていましたが、イリヤの心には深い傷を残す結果になってしまって・・・
朝出掛ける前に叩いて、夜仕事と学校が終わってから帰っても、イリヤは私を見るとベッドの下へ。きっと一日中、「いつ帰ってきちゃうの?」「また叩かれちゃうの?」と怖い思いをさせていたんでしょうね。
その反面、ささみでおびき出して(笑)ベッド下から出てきたところを抱っこすると、おとなしく抱っこされたまま。
心細かったんだよね?
二度とこんなに乱暴なことはしないから。
だからまた私を信頼してね。
本当にごめんね。
こんなにいたいけな子をぶった私は大バカです。
ずっと、私の言葉を黙って聞いたよね。
で、自分から私の顎ににごちんと頭をぶつけてきてくれた。
そ~っと、そ~っと頭を撫でると、ゴロゴロ言ってくれた。
私はそれを聞きながら、本当に自分は愚かだったことに気付いたのです。
体罰はかえって萎縮させるだけで、何の効果もないことを実感した日でした。
だから、スーパーで泣きじゃくる子供を人目もはばからず叩いてる親を見てると、「意味ないって。」と教えてあげたくもなりますが、人の家のことには口出しできませんからね~
当時は躾と怒りをぶちまけることの区別が、全然ついていなかったんだと思います。だから「ぶつ」という最悪の選択肢をあえて自分からしてしまったんでしょうね。
それ以来、何か躾の指針になるようなものはないかな~と探していたら、スキナーボックスの実験を見つけたのです。
スキナーボックスというのは鳩を使った心理学の実験なんですが、実験概要は以下の通り。
まず、鳩を箱の中に閉じ込めます。
この箱の中に、鳩がくちばしで赤と青のランプをそれぞれつけられるようにしておいて、どちらかのスイッチを押すと、餌が出るようにしておきます。
で、絵を見せてスイッチを押すと、餌が出ることを学習させることが出来るというものでした。私はまず、鳩が絵に反応するという事実に驚きました。的確なタイミングでご褒美をあげれば、鳩だって(失礼な言い方ですが)ちゃんと絵を認識できるようになるんです。これをオペラント条件付けというそうです。(心理学のノートより)
この実験に一番のミソは、
的確なタイミングで褒めるということだと思います。
鳩には日本語が通じません。(人間ほど流暢には操れない、という意味です)その相手の行動を矯正するのには、言葉を使うのではなくて、体で覚えてもらうのが一番効率がいいでしょうね。
でも、これは裏を返せば
的確なタイミングでなければ何をしても覚えないということです。
だからなにか悪いことをして何十分か経った後に
「あなたはあの時○○できなかった」と責めても全く意味がないということ。
このタイミングが難しい。
まず、現行犯でなければ叱れない。
(お留守番の時間の長い子だと、それだけで躾は難しいのではないかと思います)
現行犯でもある程度強い口調で注意しないと、叱られていることに気付かない。
(ダメだよ~と軽く注意してるだけでは、何度でも繰り返す)
つまりタイミングも、叱る強さ(?)も、
どっちも揃って初めて「躾」になるんだと思います。
結論。
躾は難しい。
一番の近道は、やってはいけないことを教えるというより、させないことでしょうね。
私みたいに叱るのがうまくいかないなら、初めから悪いことを出来ないようにしておくのがいいみたいです。
具体的にはどんなことがあるかというと・・・
◇生ごみ漁りをしないように、食べ終わったらすぐに片付ける。ごみは蓋つきのごみ箱へ。
結局のところ、これが一番よかったです。
イリヤのイタズラで一番困ったのが、生ごみ関係でした。
ちゃんとご飯をあげても、どうしてもごみが気になるみたいで。。
生ごみ本体はもとより、お肉やお魚のパックやそのラップまで興味津々(笑)
それまで私が接したことのある猫(オシ兄弟)は全然生ごみに関心がなかったし、キッチンが独立タイプだったので最悪締め切ってしまうことも出来ました。
ところが私が一人と一頭生活していたアパートは1K。
台所と部屋とをしきるドアはあったものの、そこを閉めてしまうと狭いので、原則としてそのドアは使いたくないな~と思っていました。
が。
そんなことを言っていられるような状況ではなかったですね。
お魚のパックをくわえてベッド下に隠してあったこともあったし、
(私が片付けなかったのがいけないんですが)
これは前にも書いたかもしれませんが、増えるわかめちゃんを水で戻していたら、それをくわえてベッド下に隠したこともあるし。
仕方なく台所と部屋のドアを閉めるんですが、そーするとイリヤが
「なんでお台所に行けないの?なんで?なんで??」
と、ものすごく悲しそうな声を出すんですよ
10分くらいならまだしも、30分もそんな悲痛な叫び(?)を聞いてるとかわいそうになってきて・・・
「絶対に流しには乗っちゃダメだからね?
絶対にIHの上にも乗らないってお約束してね?」
と念を押すんですが、イリヤが約束を守ってくれたことは一度もありません。
私には3つの選択肢がありました。
1 料理をしない
2 台所に入ってもいいが、流しやIHヒーター、作業スペースに乗ってはいけないことを徹底して教える
3 台所には入っちゃいけないことを教える
一番ラクなのは1でしょうね(笑)
でもお金にもそんなに余裕があった訳ではないので
結局10分以内で作れるような味の薄い煮物とか、軽くソテーするだけで食べられるものが食生活の中心になりました。
生野菜、どんとこ~い!
躾けは難しいので、人間側が妥協案を提示するのがラクだし
猫との関係に亀裂も入らなくていいのではないかと思いました。
猫側だって本当は色んなことを要求してるけど、でも全部が叶えられる訳ではない。我慢させてしまっていることだって少なくないと思います。
だから、人間も自分の都合のいいように猫が行動することばっかり期待するんじゃなくて、二人で適当な妥協点を探るのではないでしょうか。
今日のまとめ
◇叱るのと怒りをぶちまけるのは全く違うもの
◇叱るならタイミングよく、ある程度の強さでするべし。
◇二人で適当な妥協点を探すのもアリ
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